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試食会 at ユカワタン(軽井沢ホテルブレストンコート)

軽井沢のホテルブレストンコートで3月6日にオープンするメインダイニングのプレスおよび生産者対象のオープニング前試食会に行ってきました。プレスでも生産者でもないのですがなぜかご招待されました。フルコースそれぞれの料理にマリア-ジュした国産ワインという豪華な試食会でした。

ワインについては、?がいろいろありましたが、それはまたいつか。日本の作り手もとても頑張っているということを言うにとどめておきましょう。 私はいわゆるコレクターではないのですが、うちのワインセラーにはワインが2000本ほどあります。コレクターでないというのは、集めることに興味があるのではなく、ひたすら自分が飲むことにのみ興味があって飲みたいものを飲み、気に入った系列のものを買うということを繰り返していたらそうなってしまっていたからです。
300本を超えたあたりで地下にセラーを作ってしまったのがいけませんでしたね。
ワイン通といえば、食事のときにワインについて蘊蓄を語る人たちは困りものだと思っています。ワイン会ならそれはそれで楽しいのですが・・・そういうことでまた、ワインについて書くこともあると思います。

さて、ホテル本館から林の中の小経を少し歩いていくと奥まったところに一軒家があります。中に入ると無垢の木材、温かみのある壁、明るすぎないバランスのよい照明。席はわずか24席。一人一人の要望に合わせた柔軟な対応ができるようにということです。フロアースタッフも十分な数で、つかず離れずすべての席の要望をいつでも受け入れられる態勢です。席の配置も、一部の有名レストランのように横にずらっと並ぶという配置ではなくそれぞれに余裕のある空間となっています。慌ただしい日常から、時間がゆっくり流れる非日常へと誘う仕掛けは完璧です。

料理のコンセプトは「水のジビエ」ということで、フランスをまねたフランス料理ではなく日本ならではのフランス料理をめざすということです。確かに食材、調理の仕方から器や盛り方に至るまで日本人ならではの繊細さが見事に表現されていました。


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さて料理。アミューズの2品目は6種のアミューズをコースのように小さな大理石の上に並べています。 温かいものは石を熱くして温かさを保っています。左の前菜から右へと進行し、一番右はデザートとなっています。
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一通り食べた後で味の好みを聞かれました。私は味を薄めにしてくれと頼みました。ここで客の好みによって味を調整するようです。前菜のテリーヌ(写真上、信州牛と信濃雪鱒、黄色い部分は烏骨鶏の卵黄です。美しいお皿です)とフォアグラをいただいたあと、スープは佐久鯉と内臓のソーシソン、かなり恐怖でしたが、写真の通りでコンソメはかなりおいしく内臓も鯉の味をしっかり残しつつ苦手な人にも食べやすくなっていました。
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魚料理は佐久鯉のスフレ、川エビのソース・・・少し抑制しすぎたかな???
そして肉料理は3種類から選ぶのですが、下は藤原さんという牧畜家に作り方まで頼んで作ってもらっているという安曇野放牧豚のデグリネゾン  素晴らしい素材です。 しかし料理の写真、難しいですね。もっと美しかったのですが・・・
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信州フロマージュの小さなムニュ、そしてデザートのあともさらに美しく最後を飾ります。
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食器も盛りつけも、視覚的にとても美しいコースでした。器はすべて同じ作り手に特別に注文した陶器で、触感も非常に柔らかく温かみを感じました。

素晴らしいコースだったのですが、私には全般的に少し甘く感じられました。素晴らしい素材なのだけれども、もう少し味の奥行きがほしい、ような・・・長く噛むことが必要な料理がなかったからかもしれません。美しく盛られた一口で食べられる料理だと口の中で咀嚼する時間が少なくなるのは当然のことではあるのですが・・・でも、そういうせいでもないかも・・・

「あまい」というのは説明の必要な言葉かもしれません。(・・・マスメディアでは試食した人が「あまい」とか「からい」とかコメントする、というわかりやすさがうけているようです。貧困な語彙力ですね・・・言葉は恐ろしいもので、貧困な語彙で話していると思考そのものも貧困になり、ひいては感受性も貧困になっていきます。恐ろしいですね・・・)

よくできた人参を地面から引っこ抜いて洗って食べるとぼりぼり噛んでいるうちに次第に甘さが口に広がります。あるいは、とったばかりの貝を海の水で洗ってそのまま食べると噛むごとに甘さが広がります。大地や海が生み出した奥行きのある甘さです。そういう甘さと、口に入れたとたんに「あまーい」といういわゆる「旨み成分」を前面に押し出した甘さは違うと思うのです。いわゆる「あまーい」という甘さには奥行きがありません。子供たちがそのような味に慣らされて育つとしたら少し残念なことです。

だったら素材を味付けしないでそのまま食べればいいじゃないか、というかもしれませんが、そうはいきません。素材と時間も調理の関数。トラフグも寝かして初めて身も柔らかくなり香りも増しますし、肉もどのくらい寝かせるかで素材は別物になります。自然に流れる時間と素材の変化、そしてそれをさらに活かす方向に調理し、盛りつけることで、味覚だけではなく五感すべてで味わうようにすることが可能になります。自然と人為が融合して初めて素晴らしい一皿が生まれてくるのです。自然に対して力づくで人為を押しつけていこうとする料理はたいていの場合失敗に終わります。しかし作り手が引きすぎても素材はポテンシャルを発揮してくれません。
自然には逆らわない、当たり前のことですね

「ユカワタン」(中華料理屋みたいな名前ですね、湯川という川からつけた名前なのですが、ローマ字で書くと意外にかっこいいです)の浜田シェフ、まだまだ進化する前途有望なシェフですからこれからが楽しみです。

コースは全体で一つのシンフォニーのように構成され、ゆっくりとした時間の流れとともに、五感で味わう。そういう時間をたまには持ちたいものです。時計ばかり見て食事しているようなことが続いてはいけません。といいつつ、最近のんびり過ごしすぎたツケが回ってきて、結局今日は徹夜しなければいけない羽目になりそうです。難しいですねえ。
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プロフィール

西きょうじ

Author:西きょうじ
予備校講師歴も30年以上になりました。いろいろなことがありましたが、様々な方向へと越境しつつ自分を更新していきたいと思っています。

参考書「英文読解入門基本はここだ」「ポレポレ英文読解プロセス50」「情報構造で読む英語長文」「リーディング&ボキャブラリー」「英文速読のナビゲーター」「英文の核」「英文法の核問題演習編」
一般書「踊らされるな、自ら踊れ」「越境へ」(共著)「仕事のエッセンス」「そもそも」「星の王子様さまを英語で読もう」

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