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医療と教育と市場原理(1)

Twitterでもつぶやきましたが、21日に突如、強烈な腹痛に襲われました。 時々、繰り返されるごとにお腹を押さえてうずくまって堪えました。病院に行くのはあまり好きでないので、いつか収まると根拠もなく思いこみ、堪えていたのですが、夜中になりとうとううずくまっても堪えられず転げまわるようになってしまったので、家人に小諸の病院まで連れて行ってもらいました。

ようやく診察室に入り先生に症状を話します。どうやら胃潰瘍のようで、入院はしなくてすみそうです。24日から13日間連続で仕事だと伝えると、1週間は休むようにとかなり促されましたが、それは経過次第ということで薬をもらいました。

先生は夜中でも穏やかで丁寧に応対してくれました。毎日とても労働時間が長いと伺いました。大変な日常です。それでもいらいらした様子も見せないで仕事をしておられます。感謝と尊敬の念にたえません。

先日、軽井沢で医師の集まりがありましたが、その際、ある先生が「私たちは人を助けたいと思って医者をやっているのだ。病気が治って感謝されたらそれだけでがんばろうと思う。」とおっしゃっておられました。

ところが、患者さんの中には「お金を払っているのだから夜中の診療も当然だ」とか「お金を払っているのに医者に注意を受けた(それを叱られた、と受け取るらしいです)」とかいう姿勢の人も結構いるようです。「そういう時代なんですよ」と先生たちは言うのですが、どういう時代であるのかと私は考えました。

その変化が始まった時期というのを考えてみると1990年台後半にモンスターペアレントが目立って増え始めた時期とほぼ一致するのではないかと思います。モンスターペアレントについては様々な本もあり、2008年にはテレビドラマにもなったそうなので具体例はあげる必要もないでしょう。その原因も様々に挙げられていますが、私は原因の一つとして市場原理主義の蔓延を考えています。

このブログでも何度も市場原理主義を批判してきたので、またかよ、と思われるかもしれませんし、なんでも市場原理主義のせいにすると思われるかもしれません。しかし、私にはミルトン・フリードマン(アメリカに非常に大きな影響を与えた経済学者、1976年ノーベル賞)以降のネオリベラリズム(規制を極限までなくして市場原理に委ねる、フリードマン本人は大麻の規制もなくすべきと述べています)が、突き進んだ結果の弊害は、日本においてもかなり広範囲にわたっていると考えています。ホリエモンのような存在が世間を騒がせた(今も影響力があるみたいですね)という程度のことにはとどまっていないと思います。

時代を少しさかのぼると、小泉政権の頃「規制緩和」(フリードマン的アメリカが日本に要求したわけです)が一気に進み、そのころ経済界で権力を握っていたオリックスの宮内氏(ソフトバンクの孫正義氏や村上ファンドの村上氏などを後押し。村上氏の逮捕前には村上ファンドで大いに利益を上げていました)などとともに、つまり政界、財界が力を合わせて、また、メディアもそれを大きく助長しながら、医療や教育などビジネスチャンスの見込める分野を自由市場化していきました。ちなみに渡辺美樹(ワタミです)は学校経営への株式会社参入に断固反対し続けたために、規制改革・民間開放推進会議の教育・研究ワーキンググループの委員内定を取り消されています。

このような「規制緩和」によって、教育や医療に留保なく市場原理が入り込んでいってしまったのです。

その結果、患者は市場における消費者である、という意識が広がりました。市場原理からすると消費者である以上消費者の権利を主張するのは当然だということになります。もちろん、医者の側にもその意識が広がり、患者を客として扱うようになったという側面があることも否めません。医療が商品化され、サービスと金銭の交換という面のみが強調され、合理性が追求されることで患者側の敬意や感謝、医者側の時間をかけた問診、患者への労りといった医療には欠かせない要素で金銭換算されえないものがそぎ落とされていってしまったのでしょう。

さきほどの「私たちは人を助けたいと思って医者をやっているのだ。病気が治って感謝されたらそれだけでがんばろうと思う。」という気持ちは市場原理には反映されません。

この市場原理は教育にも及んでいます。 

  すみません、ここからは次回に続きます。
しばらくお待ちください。
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プロフィール

西きょうじ

Author:西きょうじ
予備校講師歴も30年以上になりました。いろいろなことがありましたが、様々な方向へと越境しつつ自分を更新していきたいと思っています。

参考書「英文読解入門基本はここだ」「ポレポレ英文読解プロセス50」「情報構造で読む英語長文」「リーディング&ボキャブラリー」「英文速読のナビゲーター」「英文の核」「英文法の核問題演習編」
一般書「踊らされるな、自ら踊れ」「越境へ」(共著)「仕事のエッセンス」「そもそも」「星の王子様さまを英語で読もう」

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