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スズメバチの巣を駆除するということ

最近、スズメバチの巣が次々と我が家に作られています。軒下など高いところにあるコガタスズメバチやヒメスズメバチの巣ならば放置しておいても大丈夫なのですが、なぜか低いところやカイ(我が家の犬、甲斐犬で黒いので狙われやすい)の活動範囲に巣を作るので、こちらも完全防備して化学兵器を持って敵の活動時間でない夜に駆除しています。キイロスズメバチはなかなか攻撃性が強いようで、巣から離れたところを歩いていても襲ってくることがあるので特に警戒が必要です。

下はコガタスズメバチの巣。小型と言っても、巣は赤ん坊の頭くらいの大きさ。

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こうして「駆除」しながら、駆除しない「共生」の可能性について考えています。

巣は通常1年しか使われないので、放置しておいても年々巨大化していくというものではありません。使用されていない巣が軒先にあっても何の問題もありません。すると、そのわずかな期間彼らが襲ってこないならば放置しておいても問題は何もないのです。それどころか、彼らは小さな虫を食べてくれるのでこちらとしてもできれば共生したいし、それが望ましいあり方だと思います。

しかし、これらが襲ってこないようにするには巣の近くを歩かないようにしなければいけません。カイを庭に出すこともできません。巣の近くを歩くと襲ってくるし、刺されて死ぬこともあるということを考慮すると、やはり駆除せざるを得ないというのが現段階での結論です。

ツバメが車に巣を作った時は1カ月レンタカーを借りて生活したこともありますが、スズメバチに対して庭を明け渡すというわけにはいかないようです。ハチへの愛情が足りないのかもしれません。ちなみにツバメの巣も雛たちが巣立った後は、遺憾ながら、巣を車から外させていただきました。

一方、"Don't sleep. There are snakes." (邦題「ピダハン」)という本では、ピダハン(アマゾン奥地で暮らす400人程度の少数民族)は、サソリを退治していたアメリカから来た伝道師に「サソリやタランチュラを殺す必要はない」といい、用心していれば大丈夫だ、というようなことを言います。実際彼らは短時間ずつしか睡眠をとらず、常に警戒態勢で生活しています。

原題「寝るなよ、蛇がいるから」は彼らが「お休み」代わりに使う言葉です。その本の中では、重病のピダハンの子どもを何とか治療しようとする著者の行為を不自然なものとして傍観し、著者がいない隙に、生きていても苦しむばかりだと自分の子どもを殺してしまう場面があります。また筆者がマラリアで死にかかっている家族を病院に運ぼうと必死で訴え、何とか船に乗せてもらったあとで、彼らが緊急扱いせず、死ぬものは死ぬ、といった態度でのんびり食事などしている様子に西洋人的苛立ちを感じる場面もあります。「こっちは妻と子供が死にそうだっていうのに!」と筆者が苛立っても、ピダハンは別になんてことはないという様子で自分たちのペースで行動し続けるのです。

彼らのような死生観からすれば、家にできたスズメバチの巣をわざわざ駆除するなどという行為はゲラゲラ声を出して笑う対象となってしまうでしょう。彼らはよくおしゃべりしよく笑います。(「ピダハン」はとても面白い本です。お薦め。彼らには、「ありがとう」「すみません」「右左」「数」「色」を表す言葉もなく、土地の中に自らを位置付けて生活しています。また、3日間何も食べずに食料の備蓄もないまま狩りにも漁にもいかず、踊り続けていたり、遊んでいたりします。絶対や神などという概念も滑稽なものとして笑って退け「今ここ」のみを充実させて生きています。生の原点はここにあると感銘を受けます。)



そのあり方に感銘は受けるのですが、今のところ自分自身はまだそこには到達できなさそうです。自己相対化のための対象としてそのあり方は常に念頭に置いておきたいとは思いますが…

さて、現代社会において自分の生活を脅かすものはどの程度「駆除」することが正当化されるのでしょうか? 

ほとんどの場合、実際には無害なものを「自分を脅かすもの」と思いこんで「駆除」してしまおうとしているのではないかと思いますが…

現実的に自分を脅かす可能性が高いものについては、コストとプロフィットに還元して計算したうえで経済学的に正当性が測られるのでしょうか。(刑法の対象に限定せずに)正当防衛と過剰防衛の境界はどこにあるのだろう。…ツイッターでは「攻撃は最大の防御なり」といわんばかりの明らかな過剰防衛も目にしますが…

原発は現実的に自らを脅かすものとして考えるべきなのか。自らが作り上げてしまった絶対的脅威として排除すべきものなのか、コストとリスク、プロフィットを計算したうえで正当性を測るべきものなのか。

スズメバチ問題はなかなかに手ごわい問題です。
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プロフィール

西きょうじ

Author:西きょうじ
予備校講師歴も30年以上になりました。いろいろなことがありましたが、様々な方向へと越境しつつ自分を更新していきたいと思っています。

参考書「英文読解入門基本はここだ」「ポレポレ英文読解プロセス50」「情報構造で読む英語長文」「リーディング&ボキャブラリー」「英文速読のナビゲーター」「英文の核」「英文法の核問題演習編」
一般書「踊らされるな、自ら踊れ」「越境へ」(共著)「仕事のエッセンス」「そもそも」「星の王子様さまを英語で読もう」

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