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全訳を書くことが英文読解ではない件について

 ツイッターで質問が多かったので、私のテキストから抜粋します。

(ハイレベルな受講生への提言)
長文読解では全訳をノートに書くな!
 
入試では長文を一定時間内で読み通し、内容を理解、設問に対処することが求められているが、長文になると非常に時間がかかる、あるいは読み進むうちに意味がわからなくなる、という受験生が多いのが現状である。これは長文読解へのアプローチの仕方が意識化されていないためであることが多い。そこで長文を読み進むために必要なこと、そしてアプローチの方法を示しておくことにする。今、ロジックで読む英語長文のような参考書を執筆中だが、これはその覚書のようなものである。

まず、1文1文の内容の理解がベースになることはいうまでもない。その際、文の構造を把握し文意をつかむ作業が必要になるのだが、ある程度の学力がある生徒は、その和訳をノートに書くべきではない。

内容をつかむことと訳をノートに書くことはイコールではないのである。いちいち訳を作り上げることには、内容理解に加えて、理解した文意を自然な日本語に移し変えるという作業がともなうので、それをいちいちノートに書いていると、前の文から次の文へと続く文章展開の流れを見失いがちになりやすい。
また、ピリオドごとに日本語に置き換える作業をしていると、前文の副詞句が次の文をも支配している場合(⇒例 In such case, S V. S Vなどの場合、次の文のS VがIn such caseの支配内に入るか否か、People may think that ~. S Vで、People may think thatが次の文を支配しているか否か)などに、内容把握に支障をきたすこともある。

文意をつかむ⇒次の文へのつながりを考える⇒次の文に進む
というようにスムーズに読み進めたいものである。この際、必要なのがロジックの展開への意識である。基本的に英文は日本語よりもリジッドな論理構成を持つので、論理展開のパターンを知り、そのフレームに当てはめて文章を読む練習をするのが望ましいだろう。その基本としては「英文速読のナビゲーター」(研究社)を薦めたい。

特に文意をつかむのに苦労するような文の場合、最低でも中心となる情報をつかみ次の文との関係を考えよう、とするべきであって、その文を延々とにらんでいることは効率の悪い(そして本番では不可能な)長文読解といえるだろう。(もちろん一つの文と格闘して日本語に訳す作業はとても重要であるが、それは長文を読み通す作業とは別に行うべきである。つまり長文を読み設問に答えたあとで、難しい文とはじっくり格闘するという学習をするのがよいだろう。)
 
時間をかけて考えた文は頭に残りやすいものである。一般的に内容として比重の弱い文のほうが文構造が複雑になりやすいので、全訳に全力をかけていると、結局訳出に苦労した比重の弱い文が頭に残ってしまうことになってしまい全体の意味がとれなくなりやすいのである。

情報の展開を考えつつ文から文へと読み進んで行くことに加えて、文章の展開の枠組みを意識することも重要である。その際、情報の強弱(たとえば、抽象と具体(例)を分ける、など)を考えて、問題文中に、強い部分には傍線、弱い部分には(  )などを書き込む、情報のつながりを明確に示すディスコースマーカーには○をつけておく、といった作業をやっておくのがよいだろう。上位校では、S V. {…具体的説明が続く…} S Vとなっている文章中にSV部分とSV部分をつなぐディスコースマーカーを空所補充させる問題などが出ることがあるが、そういう場合など10行以上離れている文と文とかダイレクトにつながっているのだということが見えなければ到底対処し得ないだろう。また文章全体の意味をつかむには、このような作業が必要だということは言うまでもない。

さらには、パラグラフを一つ読み終えたら、少し停止して内容を押さえなおし、次のパラグラフに入るほうがよい。そこでパラグラフとパラグラフの関係を考慮に入れることが必要である。パラグラフ全体が前のパラグラフの補強である場合などは、たとえば、2パラ(←3パラで補強)4パラとつづく場合など、中心情報は2パラから4パラにつづいているということに気付きたいし、またそこでのディスコースマーカ-は2パラと4パラをつなぐものになるわけである。また、あるパラグラフの最終文が次のパラグラフの説明の予告をしている場合や、あるパラグラフの最初の文が前のパラグラフの総括をしている場合などは、そのことに気付いていると非常に有利である。あるパラグラフを読み進んでいるうちに内容が見えなくなってきたら次のパラグラフの頭を見てみるというのは、入試においては有効なアプローチである。(具体的には、「情報構造で読む英語長文」(代々木ライブラリー)も参照してみてください)このようなパラグラフの関係を正確につかめるかどうかを問う問題としては、センター試験や東大のパラグラフ整序が典型的である。

以上、全訳を書かずに長文を読もうとする姿勢について簡単に説明しておいた。

それでも、どうしても全訳を書きながら読まなければ気がすまない人も多いようなので、文のつながりが見えなくなるという以外にも弊害があるということを説明しておこう。(先にも書いたことように、訳を書く練習が必要なことは言うまでもないが、長文の内容把握に際してはマイナスになることもあると言っているのです。変に誤解しないように。)

まずは、訳せない箇所があるとそこで読み進めなくなってしまうこと。一つの単語を知らないことが文意理解に致命的だというわけではない(知らない単語があっても文意をなんとか把握しようとする練習はするべきだろう)と同様に、ある一つの文が単独では正確に細部まで読みきれなくても、文章の流れの中に位置づけることができれば文章全体の内容把握が可能な場合も多いのである。入試では知らない単語は出題文中にあるものだし、正確に読むには骨の折れる文もあるものだという覚悟はしておくほうがよいだろうし、その条件の下で、問題を読み通し設問に答えることができるようになる必要があるのである。

さらに、ノートに訳を書きつけるという作業を続けると頭の中で処理する情報量が少なくなる、つまり訳を書かなければ気がすまなくなったり(時間の制約がある本番ではそれは不可能である)、あるいは頭の中で処理する能力の退化にもつながりかねない、ということも注意しておこう。自ら頭を鈍化させる道を選ぶことはあるまい。折角勉強するのだから、頭を鍛えよう、というわけです。
  
最後に、文章を読むということは、自分の思考に他者の思考が介入してくることにもなるので、きちんと理解することによって自分の思考も変化することになる。読むとは、ある意味、自己破壊の危険さえ伴う行為であるのだ。頑なに自分の思考を守ろうとするのではなく、他者の思考を受け入れながら自分の思考を更新し続けていくこと。訳をノートに書いて日本語で表現できたら終わり、というものではないのだ。
 
 …しなやかな思考へむけて自らを解放するために…



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プロフィール

西きょうじ

Author:西きょうじ
予備校講師歴も30年以上になりました。いろいろなことがありましたが、様々な方向へと越境しつつ自分を更新していきたいと思っています。

参考書「英文読解入門基本はここだ」「ポレポレ英文読解プロセス50」「情報構造で読む英語長文」「リーディング&ボキャブラリー」「英文速読のナビゲーター」「英文の核」「英文法の核問題演習編」
一般書「踊らされるな、自ら踊れ」「越境へ」(共著)「仕事のエッセンス」「そもそも」「星の王子様さまを英語で読もう」

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